メンタル

自分で何かを生み出し続けられる人でありたい

4人目の起業家へのインタビューは上杉惠理子さんです。

2022年9月に『世界のビジネスエリートを魅了する 教養としての着物』を出版し、世界に和の文化を発信する上杉さんの独立のストーリーを深堀していけたらと考えています。

上杉さんのプロフィールはこちら。

上杉 惠理子 (うえすぎ えりこ)

和装イメージコンサルタント
着物を着こなすための「和創塾 ~きもので魅せる もうひとりの自分~」主宰

東京下町出身で江戸っ子気質の英語教師だった父と、日本橋三越直営店の和裁士として修行した母の間に長女として生まれる。学生時代、交換留学先でアメリカ人の浴衣に対するポジティブな反応を体感し、日本の伝統である着物をグローバル社会で着こなす可能性に気づく。母親の30年前の着物を着こなすことで、いつの間にかコンプレックスを解消し10kg減量、自分の人生の主役として生きられるようになる。
法政大学社会学部、一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了後、環境創造企業 株式会社エステムでの営業企画部勤
務を経て、星野リゾートに入社。東日本大震災で大打撃を受けながら、担当した北海道のリゾート トマムの業績回復と会社の急成長を目の当たりにし、ビジョン·戦略·行動力があれば現実を変えられることを実感。自分を変えた着
物の真の魅力を伝え、着物文化を次世代に受け継ぎたいと、2015年日本初の和装イメージコンサルタントとしてダブルワークから起業する。
「難しい·苦しい·お金がかかる」と思われている着物を、「誰でもできる·身体に楽·高コスパ」で、女性ひとりひとりの魅力を引き出す勝負服として、コーディネートや着用シーンなどを提案する。これまでの着付け教室にはない講座内容と、受講生それぞれの個性やストーリーに寄り添う姿勢に、「和創塾~きもので魅せる もうひとりの自分~」に全国から個性豊かな受講生が集まる。

和創塾ホームページ

壁はかならず超えられる!

星野リゾートに就職したのに、なぜ、起業しようと思いましたか?

社会人になった頃から、いつか自分のビジネスを持ちたい、起業したいと思っていました。その頃、日本で社会的企業がいくつも出てきたときでした。ホームレスに仕事をつくるビッグイシュー日本。途上国の生産地とアパレルブランドを作ったマザーハウス。エシカルジュエリーブランドをつくったハスナ。政治でもボランティアでもなく、ビジネスで社会課題の解決に取り組めることにワクワクしました。私も何か新しいビジネスを立ち上げたいと思いましたが、何で起業するのかテーマが見つからずにいました。

星野リゾートは今こそ多くの方に知られるメジャー企業ですが、もともと軽井沢の1温泉旅館で、私が入社した当初はまだまだ知る人ぞ知るホテルでした。

―確かにそうですね!

社員もまだまだ中小企業なんだ、という意識で仕事をしていました。中小企業だけど想いでは負けない、チャレンジングな精神をもって働いていたように思います。

なので、私としては大手で働いていた意識はなく(笑)、常に変化成長を目指す中小企業の星野リゾートにいたことが大きな学びだったと思います。

当時はシーズンを通してリゾート・ステイが楽しめる北海道のトマムのリブランドを星野リゾートは進めており、それを販促するプロジェクトに携わりました。

夏は雲海を見たり、パウダースノーが楽しめる冬のゲレンデを体験できたりする、このリゾートを世間に広めることができ、毎日が喜びで満たされていきました。

トマムを黒字にするんだとか、世界に出るんだとか、無茶だろと言われたことでもビジョンを掲げ、戦略をもって行動すれば、本当に実現できるのだと星野リゾート時代に身をもって学んだことは大きな財産だったと思います。

―それが今に生きているんですね!

それもあって、「着物なら何かできるかも」と思いついたときに、チャレンジしてみようと思いました。「自分が好きなものを世に広める楽しさ、やりがい」を星野リゾートが教えてくれたのです。当時女性起業家も書籍を出版していたり、メディアに出たりしていて、ロールモデルも徐々につくられており、憧れもありました。

そこで私がこよなく愛していた「着物」を軸に起業をしようと考えたのです。着物はもともと好きで学生時代から着ていたのですが、大切な日本の文化であるにも関わらず、街にはそれを着ている方をあまり見かけません。留学していた時に着物をきてそれまで「アジア人」という風に見られていた私が「日本人」としてリスペクトされたのも、着物を世界にそしてまずは日本に根付かせたいと考えた一因です。

思いついてすぐに副業申請をしてダブルワークになり、最後は正社員からアルバイトになり、起業を決めて一年で完全退職をしてフリーになりました。

―上杉さんは、行動し始めたら速い印象があります(笑) そんな起業ですがいちばんつらかったことはなんですか?

2年目、3年目になっても売上が安定しなかったことです。

起業すると決めて、立ち上げるまではノウハウと行動力があればなんとかなるものです。短距離走のようでした。

ですが、ビジネスを続けることは長距離マラソン。

必要なことがガラリと変わることを最初は全く理解できず、ほんっとに安定しませんでした。

クレジットカードのキャッシングもリボ払いもさんざんやったし、講座の会場費も払えずに支払いを待ってもらったり、母に援助を頼んだこともあります。自分が情けなく、稼げていない起業家であることをひた隠しにしたかった。

3年目の2018年にお金への執着や自分への思い込みをメンタルコーチングを受けたことで外すことができ、在り方から変えられたことで今も続けられていると思っています。それまでの私はなんとか収益化をと焦ってしまい、おそらくそれがお客様に伝わってしまっていたのでしょう。

ギブアンドテイクがビジネスの鉄則であるにも関わらず、それを忘れてしまっていたのです。

ですからそこを見つめ直したことは、人生においても大きな意義のあることでした。

―いろんなご苦労があったと思います。ひとえに着物を軸に動いてきて、されたご苦労だったかと思いますが、そんな上杉さんにとって着物とは何ですか?

最高の自己表現ツール、と思っていました。

色柄のバリエーションが広い着物は、その日の自分のテーマやお会いする人に合わせてメッセージを込めやすいのです。着物を着たら全ての道はレッドカーペットと思って歩いています。

最近はさらに少し変わってきて、着物は世界と自分をつなぐもの、と感じています。譲られた着物を通じて先の時代を生きた女性たちとつながる、この着物が産まれた産地とつながる、素材の植物から大地とつながる…着るだけでエネルギーをもらえる、私の元気のもとです^^

―いいですね! 大切にされている考え・言葉はありますか?

The opposite of war isn’t peace, it’s creation!

大好きなミュージカルRENTの一節です。

ただ戦争反対を叫ぶのではなく、ただ平和を祈るのでもなく、社会課題を解決できる一助となる何かをつくる側にいたいと思っています。

着物一枚一枚が素晴らしい手仕事で産み出されるように、私たち人間はつくるチカラを持っている。人任せにせず、自分で何かを生み出し続けられる人でありたいと思います。

―最後に、起業家になりたい人たちに一言お願いいたします。

必ず壁にぶつかりますが、乗り越えられない壁は決して目の前に現れません。

起業してみて、やめたくなったら、やめる前にぜひ私に相談に来てください^^

そして、自分のスケジュールを他人ではなく、自分で決められる、生きている感覚をえられるのが起業家であると実感しています。

もちろん、楽しいことばかりではなく、つらいこともあるのが、起業家。

起きている間ずっと仕事を考えなくてはいけないこともあります。

ただ、そうであるからこそ自分の本質を知ることもできるのです。

―ありがとうございます! 次回は、書籍の出版に関して伺いたいと思います。

今まで2冊の本を出された経緯、そして、その反響などもうかがえたら嬉しいです。

 是非お話させてください。起業家はぜったい本を出した方がいいです。

 そう思ってもらえる話にしたいです。

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