本日は『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』著者吉田幸弘さんに話を聞いていきます。
なぜ本書を出そうと思ったのか?
そして、何故起業しようと思ったのか?
このあたりを詳しく聞いていくことで、キャリアについて学びが深まると思います。
伝え方が変われば、同じ内容のことを伝えても組織の動かせ方がガラッと変わります。
吉田幸弘さんのプロフィールはこちら
リフレッシュコミュニケーションズ代表
人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー
1970年生まれ。大学卒業後、大手旅行会社、 有名学校法人を経て外資系企業へ
転職。そこで周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、 降格人事を
経験する。その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、
ポイントを絞ってわかりやすく伝える方法」を駆使して、劇的に営業成績を改善。
5カ月連続営業成績トップになり、マネジャーに再昇格。
その後も部の離職率を10分の1としながら、売上前年比 20%増を達成し続け、
3年連続で社内MVPに選ばれる。社外でも営業コンサルタント・人材育
成コンサルタント・コーチとして活動し、2011年1月より独立。
現在はさまざまな業種のビジネスパーソン向けに、人材育成、チームビルディン
グ、生産性向上、コミュニケーション術の方法を中心としたコンサルティング活
動及び1on1コーチング、講演、研修等を実施している。累計の受講者数は3万
人を超えている。
特に「伝え方」に関する講座の内容は「感情マネジメント」や「コンフリクトマ
ネジメント」の理論に加え、自身の経験を織り交ぜたオリジナルのコンテンツで、
「現場目線でわかりやすい」「すぐ実践できる」との評判を得ており、リピートの
依頼も多い。
NHK、日経ビジネス、President、日経ウーマン、Oggi、SPA!、J-wave、
THE21などメディアへの掲載、出演実績も多数。
なぜ本書をお書きになられましたか?
今までリーダー向けの伝え方の本を多数書いてきました。
部下をどう動かすのか? 組織をどうマネジメントすべきなのか?
そういった伝え方の本を多数出してきましたが、考えてみたら、誰もが、誰かの上司であり部下です。
社長でない限りは会社にいれば、部下とも上司ともコミュニケーションを取らなければなりません。
両方の立場の方々に通じる伝え方の本があれば、会社でコミュニケーションに悩む多くの方々にソリューションをお届けできるかなと思いました。
伝え方の核は、部下→上司、上司→部下でも変わりません。
2章 伝えるべきことをシンプルに絞り込む
3章 伝え上手になるための心得
4章 伝わる表現にする
5章 話を引きだす質問術
6章 相手の心を動かす伝え方
などは部下でも上司でも身に付けなければならないことなのです。
もちろん褒め方・叱り方などは上司から部下へのメソッドでそういった章もありますが、考えてみてください。
いずれだれもが階層を上がっていきます。
そうしたときにはじめて褒め方やしかり方を知っても遅いということも往々にしてあるのです。
私は、独立前、リーダーとしてプロジェクトを動かしたりマネジメントを行ってきましたが、当時「リーダーがどう部下に接するべきか?」ということをテーマにした本はまだまだ少なく、メソッドが無い状況でした。
ですから、私はそれまでの経験をそのままマネジメントに転用してしまい、部下には仕事を行う理由を伝えず「とにかくやれ!」という伝え方をしたり、上層部にはなかなかいうべきことを伝えられない日々が続き、当時の部下からの評価がさがった結果、降格処分を受けました。
正直とてもつらかったです。
リーダーにはリーダーとしての伝え方が存在するのだなという実感を持ちましたし、リーダーになる前に学んでおきたかったという後悔も残りました。
ですから、本書では、部下と上司が学ぶべき伝え方だけではなく、現在リーダーでもマネジメント層でもない人でも2年先、3年先チームを上手く回せるように、少し先に必要になる伝え方のポイントまでもお伝えしています。
ありがとうございます!吉田さんの想いのつまった1冊になりましたね!
はい、もうめちゃくちゃ想いを込めましたね。
ぶっちゃけますと、自分の講座を受けなくてもこの本を読んでいただければ、伝え方について必須のスキルがすべてわかるように網羅しています。
304ページと分厚いですが、わかりやすく明日から実践できるようにかきました。
自分の講座がうれるよりも、本書が何万部も売れてくれた方が、私はうれしい。そのくらいの意気込みです。
ちなみに何か伝え方で気を付けたほうがいいフレーズってありますか?
本にも書きましたが「何故?」という問いかけは生産性が下がる問いかけだと考えているので、やめたほうがいいと思います。
三田さん、たとえば、「何故企画をださないんだ?」と言われたとしたら、なんて答えますか? 何故という問いかけ自体が怖くて、凶器になっているため、おそらく思考がぐるぐる回ってしまい「申し訳ありません・・・・」と答えてしまう感じになりますよね?
私の研修で話を聞いてもだいたい同じような感じです。
何故というのは問題に対してカバーする領域が広すぎて、逆に何が問題が見えづらくしてしまいます。ですから、私のおすすめは「何が原因で企画がだしづらいの?」とか「どこが難しくて企画がだしづらいの?」というように、問題がどこにあるのかフォーカスできる質問をすることを勧めています。
「何が原因?」=企画を作るために、やるべきことが多すぎてできない
「どこが難しい?」=多い人数のなかでひとりでプレゼンしなくてはならず、焦ってしまう
とか問題をクリアに分り易くできるので、「何故」を「何が」とか「どこに」とかにかえるのはお勧めできます。
もうひとつ「自分で考えろ」これも生産性を下げる伝え方の一つです。
みんなまじめにかんがえていてもわからないから聞いているのです。
そこで突き放しても、突き放された方は何も考えられません。
私が勧めているのは「ヒント」を出すことです。
たとえば、「おれはこういう風に考えているのだけれど、どうかな?」とか「こういう風にやってみてはどうかな?」といった感じで行動を促すのです。
とはいえ、実際動いてみるとなかなか上手く行かないもの。
ですが、そこで「どうすれば改善できるのか?」考えるきっかけがうまれ、自分で部下は成長してくれるでしょう。
まずはヒントを出し、行動を促す。これを実践してみてください。明日から仕事のながれが変わること間違いなしです。
時代は令和。昭和のときのようにゴリゴリ鍛えていくやり方は通用しません。
給料は増えない、物価は上がる。会社も5年先あるかどうかわからない。そんな中で、
ゴリゴリ背中を見せる系の鍛え方をしたところで、誰もついていこうとしないでしょう。
今の若い世代は会社で成長していけるか? 生産性の高い働き方ができるか? 常にチェックしていますしSNSなどで情報もたくさん入手できます。
ロジカルに、わかりやすいコミュニケーションを心がけないと、会社の将来性を見透かされ、転職されたりしてしまいます。
吉田さん、ありがとうございます!ところで吉田さんは何故コンサルタントとして独立されましたか?
会社員だった当時、隣の部署のリーダーがあまり上手いマネジメントをしておらず、部下を何人か退職に追い込んでいました。
後輩がいて相談を受けていましたが、越権になってしまうので同僚であるリーダーに口出しできない状況がつづきました。
同じ会社にいるのにもかかわらず、改善できたかもしれない状況を改善できない。そのようなジレンマがあり、世の中の上司・部下の関係を気を遣わずにアドバイスするには、フリーになったほうがいいなと思い、独立しました。
2つ目はハラスメントがなくなり、皆が楽しく仕事ができるようになれば、世の中も明るくなるなと思ったのも独立のきっかけであります。
ここ10年、私もコンサルタントとして、さまざまな講座やセミナーを行ってきましたが、独立するきっかけとなった2つ目の理由に世の中がどんどん近づいてきていて嬉しく感じます。
独立当初のセミナーでは「吉田さんが伝えていることは優しすぎる。もっと厳しくしてください」とか「そんなにうまくいきませんよ」とかけっこう言われました。
しかし、最近では「セミナーの内容がわかりやすいです」とか「実践してみます」という好意的な意見をいただくことが増えました。
ハラスメントのない、円滑なコミュニケーションが求められる時代になってきたと実感しています。
今後もそういった社会が実現する様、一生懸命やっていきます。
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