出版

独立して、本を書くということ

インフルエンサーの方や、起業家はよく本を書いているイメージです。

たしかに生き方や、実績の上げ方が特徴があり、面白いので本になるのだなと

編集をやる前は考えていました。

ただ、今は、さらに読者への再現性がないといけないとも考えています。

やはり、木を切り倒して、インクなどを使い、1つの形あるものとして出すのであれば、人の役に立つ、人に勇気を与える、人が行動したくなる本でないといけないなと考えているからです。1年著者の先生とはやり取りをし、デザイナー・イラストレーター・制作会社とやり取りをし、紙や予算においては制作部とやり取りをし、という多くの人を巻き込んで本は生まれます。

であれば、多くの人の想いを載せて、多くの人にとどけるためにも、役に立つ、クオリティの高い本を世の中に出していかないとうかばれません。

ただ、これは編集者側からの想い。今日はビジネス書作家の想いを聞いてみたく

上杉恵理子先生との二回目の対談を行います。

自分の人生をかけて、本を書いた

―上杉さんはこれまで2冊の本をお書きになられています。まずどうして本を書いたのか教えていただいてもよろしいでしょうか?

起業して3年目の頃 もっと認知度を広げ自分のブランディングをする必要性を感じ、出版をしたいと思うようになりました。

もともと本が好きでしたし、起業家仲間の間でも出版は一つの登竜門でした。また、名刺代わりに一冊はやっぱり出版しておきたいと考える人が多かったのです。

最初はその当時の仕事そのまま、着物の着こなしの本を書きたいと思っていました。

着物の選び方やコーディネートのコツなど、洋服のイメージコンサルティングの本の和装版をかけたらと考えていました。

そこで当時、出版プロデューサーさんと何名もお会いしましたし、友人が出た出版オーディションの話も聞きに行きました。

―まずはブランディングというところから執筆を目指されたんですね! 具体的に教えてください。

 はい、ありがとうございます!

いくつか出版関連の会社を比較をした中で、ネクスト著者養成スクールに決め、2018年8月に出版オーディションに出ました。

そのオーディションに出るために、出版企画書を作っていったのですが、自分の仕事や人生の棚卸しをし、自分にはどんな強みがあるのか再確認する時間となりました。

オーディションでは、着物についての出版企画書をプレゼンテーションしました。オーディションの結果、着物の出版企画に興味を持ってくださった編集者さんとご縁をいただき数名とお話をさせていただきました。しかし、着物の本は当時市場が小さくて難しいと、出版社さんの会社としての企画会議を通過できませんでした。

―難しいところですよね。着物自体マーケットが小さいわけではないのですが、書店さんもスペースの関係などもあり、すべての本をそろえられるわけではないですから。

そうなんです。出版物のなかでのマーケットサイズと私が考えるマーケットサイズとのギャップを感じましたね。

一方で、星野リゾートでマーケティングをしていたという私のプロフィールを見て「上杉さん、マーケティングの本を書いてくれませんか?」と言ってくださった編集者さんがいらしたのです。

「マーケティングの入門本を書きませんか? たい焼き屋さんとかタイヤ屋さんとか、町の小さなお店の人が読んでくれるようなマーケティング本を作ってみませんか?」と。

私がマーケティングの本? と最初はびっくりしましたけれども、私は星野リゾート代表の星野佳路代表の社内マーケティング講座も受けたこともありましたし、毎月の営業会議で必ず代表ともご一緒して比較的近いところでお話ししていました。

担当していたトマムがV字回復をした時期で、マーケティングの基礎を学びながらまさに実践していました。起業してからも、「これは星野リゾートでやっていたマーケティングと同じだ」と思えたので、そこまで3年間頑張ってこれたこともありました。

マーケティングの専門家ではないけれども、実践者としてお伝えできることが確かにあるかもしれないと思い、お引き受けしました。

―「たい焼き屋さんとかタイヤ屋さんとか、町の小さなお店の人が読んでくれるようなマーケティング本を作ってみませんか?」この言葉いいですね! やっぱり企画は数字ではなく、こういう編集者の想いから生まれることがあってもいいと思います。

私もびっくりしましたが、とても面白いご提案でしたので、心躍りました。

本は誰でもわかりやすく手に取りやすい本にしたいと、ストーリー仕立てにしようと編集者さんと決めました。

ただ、私が経験した星野リゾートのようなホテルでは大きすぎるし、とはいえ、鯛焼き屋さんではイメージがつかないしということで、喫茶店の再生ストーリーとして書いていきました。

もちろん小説を書いたことも無かったので、モデルを明確にしたことが執筆を助けてくれました。

例えば本の中にでてくる主人公の喫茶店を残してくれたおじいちゃんは、オーディオが好きでワグナーが大好きだった私の父がモデルになっています。

マーケティングを教えてくれる星さんは、星野リゾート代表の星野佳路代表。

レコードを魅力にしているカフェも実際にあってそちらをモデルにしています。まずそれぞれの章に入れたいイラストの下絵や図表を自分で書き、それから文章を書くという形で書いていきました 。

そして編集者さんに一章送るたびに「今回も最高でした!次の章も楽しみにしています!」と必ず返信をくれたのです。

―私も見習います(笑) この話聞いてから実践していますよ!

 あはは(笑)。ありがとうございます!

一冊目を担当してくれた編集者さんが、褒めて育ててくれたことは、私にとってとても幸運だったと思います。

一方で、「出版が決まりました」「本を書いています」とSNSで発信すると、当時みんなに「着物の本ですよね?」と聞かれました。「いや、マーケティングの本なんです」と言うと、「なんで上杉さんがマーケティングなの?」とたくさんの人に聞かれました。それがなかなかつらかったですね。ただ私は一冊書いて終わるつもりはなく、一冊書いたことを実績に二冊目で着物の本が書けるかもしれないと思っていました。

執筆は2018年9月から年末の12月までの4ヶ月で終えました。そこから下絵だったイラストをプロのイラストレーターさんがちゃんと書き起こしてくれたりデザインや校正があって、2019年4月に発売になりました それが『弱者でも勝てるモノの売り方 お金をかけずに売上を上げるマーケティング入門』(ぱる出版)です。

―この本売れていますね!私も読みましたが、どこでどんなメソッドを使えばいいのかわかりやすく、とてもためになりました!
 ありがとうございます!

発売してうれしかったことはまず、着物の和創塾の生徒さんがものすごく喜んでくれたことでした。みんな本を買ってくれたし、いろんな方に紹介してくれたし、マーケティング本なのに出版記念パーティーにたくさん着物で来てくれました。

また、本当に分かりやすいマーケティング本だと評価くださる方が多く、マーケティングの本をきっかけに私を知ってくれて、和創塾に入塾くださった女性起業家さんもいらっしゃいました。そして、本の出版をきっかけに、マーケティング戦略コンサルタントとしてもお仕事をするようになりました。着物の仕事とあわせて二本の柱になったことで、私の事業としてもかなり安定して行きました。

着物への想いを込めて

その後も、二冊目に着物の本を書きたいという思いはずっとありました。ですがなかなかきっかけがないまま 2年ほど経ってしまったのですが、その間も一冊目の出版をかなえてくれた出版スクールのお手伝いにはずっと通っていました。

そうしていたら、三田さんとご縁をいただくことになりました。

最初は、三田さんに私の一冊目マーケティングの本を献本したところ、「この本すごくいいですね! 二冊目のマーケティング本を良かったら出しませんか」と言って頂いて、オフィスに打ち合わせに伺ったのがきっかけでしたね。

―あの日のことはよく覚えていますね! 着物の本を書くんだという熱をめらめらと感じましたよ(笑)
 ほんと、すみません。。。

そのとき、マーケティングの方向でもお話ししたのですけれども「本当に書きたいテーマは何ですか」と聞いてくださって、「着物で書きたいです」って申し上げたんですよね。

当時 三田さんが『世界のビジネスエリートが知っている!教養としての茶道』を担当されて 発売直前だったときでした。

では、この着物版で行きましょうかと言ってくださって、すぐに 出版企画書を作ってお送りして企画会議に通って出版が決まったのが、2021年7月21日でした。

本当に嬉しかったですね^^

 ですが二冊目の着物本のほうが書くのは大変でした。

タイトルとしても『教養としての着物』は大きなタイトルです。

24歳で着物を着始めてから、着付けを教えてくれた先生、和裁士だった母、着物屋さんのスタッフの方々、着物好きのお仲間の皆さんなど、多くの方から教えていただいたことを、私の視点でまとめ上げて書いていきました。

ですが、着物って「諸説あり」という話がたくさんあり、口頭で伝えられていることが実は「エビデンスがない」ということもありえました。そのため執筆のために、改めて本を買い込みエビデンスを取りながら書いていきました。

この作業がとても大変で時間がかかりましたね。また、大島紬については絶対書きたいと思っていたけれども、あれがどのように作られるのかは、なかなか本を読んだり、口頭で教えてもらうだけではわからなかった。そこで執筆の途中で、奄美大島に4泊5日で飛びまして、取材をさせていただきました。

―私も「奄美大島にいってきます」と上杉さんから連絡をもらいびっくりしました(笑)

当初、一冊目と同じように四ヶ月で執筆が終わるかと思ったのですが、全く書き終らず、2倍の8ヶ月かけて書き終わりました。

文章量も、一冊目の二倍のページ数という、相当の分量を書かせていただきました。

一年がかりの執筆と制作でお待たせしてしまったのですが、2022年9月9日重陽の節句の日に『世界のビジネスエリートを魅了する教養としての着物』を出版することができました。今までの着物を興味がある人や着たことがある人ではなく、なにか気になってはいた方、いつか勉強してみたいと思っている方、また特に男性陣に読んでいただける本になったことはすごく良かったと思います。

―実はね、私の誕生日の次の日だったんですよ!

 えー、まさかねらっていたんですか?

―いえ、たまたまです(笑) とてもすてきな37歳の誕生日プレゼントになりました。ありがとうございます!

 こちらこそ。そういうのもっと言ってくださいよ(笑)。

―関係ない話をすみません(笑)話を進めていきましょう。

第七章でご紹介した銀座もとじの泉二会長、私が尊敬する着物業界の経営者のおひとりですが、会長が「これは僕たちでは書けなかった」「消費者の目線で書いてくれた」とおっしゃってくださいました。

また実際読んでくれた人も「すごく読みやすかった」「上杉さんが着物と出会って、いろんなことを学んでいったときに、すごく感動したことをそのまま伝えてくれている。それがすごく伝わってきて一緒に着物の良さを発見していける本になってて、とても読みやすかった」と感想をいただけたのがこの本の大事なところかなと思っています。

まだまだ多くの方に届く本だと思っていますので、これからも私自身もいっぱい広げていきたいと思っております。

―これからもなにとぞよろしくお願いいたします。

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