出版

『本を書くことは自分の経験を言語化すること』

すべての起業家にきいているのが、「なぜ本を出版したか」です。

本を作るのに、だいたい1年くらいかかります。

その理由として、もちろんクオリティを上げなくてはならないということがいちばん大きな理由です。

ただ、それだけではなく最近は、一人の編集者が受け持たなくてはならない出版点数が増えていることも大きいです。

たとえば同時に2~3人の著者の本を見る、出版するということは割と当たり前になりました。

編集者側の対応もスムーズにいかないケースも多いので、なおさら本がでるということが簡単にはいかなくなっています。

起業家にとっては時間がかかるであろう、「本を書く」という作業をなぜするのか、僕にとってはそこを執筆者に聞いていきたいと感じずにはいられません。

今回は石川さんに聞いていきます。

 ■石川さん二回目のインタビューを受けていただき、ありがとうございます。

そもそも本を書こうと思ったきっかけをお聞きしてもいいですか?

はい、ありがとうございます。

 本を出版した友人に誘われて、ネクストサービス株式会社の出版セミナーに参加をしました。「編集プロダクション」という業態があることをはじめて知ったのですが、そこから今まで考えたこともなかった出版を意識するようになりました。 その後、何人かの著者の方とお話をする機会を得ました。

「出会う人が変わった」「親が喜んだ」「仕事が増えた」など、出版してよかったと言っていたのが印象的でした。

いよいよ自分の中で出版への思いが身近なものになってきました。その後、一大決心をして先ほどお話しした出版スクールにお世話になりました。 このような出会いがあったからこそ本を書こうと思えたので、誘ってくれた友人には感謝しても感謝しきれません。

石川有生さん著作『人の話は、ただ聞けばいい』

■なるほど、紹介があって本を書くということが明確化されたのですね。

ちなみに書いてみて大変だったことは何でしょうか?

原稿を書く中で大変だった時期が2回ありました。

 1回目は、最初に原稿を書き始めた時です。

最初の2週間は全くと言っていいほど何も書くことができませんでした。締め切りもあるのにこのままでは「マズイ」と思ってひとまず書き始めました。

書き始めると不思議と筆が進むようになりました。

2回目は、書いた原稿が6割を超えた頃です。「本当にこの内容でいいのか」という漠然とした不安を感じるようになりました。

この文章を読んでくれた人に「益」となるのか。

これは、「ひとりよがりな内容」なのではないか、などネガティブな考えが頭の中をかけ巡り筆が進まなくなりました。

誰かに客観的な意見を言ってもらいたくて妻に読んでもらいました。どんなことを言われたのか覚えていませんが、おかげでひとまず書き上げることができました。

■確かにはじめて本を書くというのは大変ですよね。自分の名前がついたものが全国のそして、ネットのストアに並ぶのですから。「ミスがあってはいけない」「客観性を欠いてはいけない」という焦りはあるでしょうね。。。

では一方で書いてみて、よかったなと実感したことはありますか?

書くことは自分がやってきたことを、言語化する作業でした。言葉にすることを通して、今まで感覚的にやっていた「聞くこと」が自分の中で整理されました。

本にするということは1章から最後の章までを通して、読者にわかりやすく話をすすめていく必要があります。

本書では最初に私が相談者に悩みを打ち明けてもらった事例を5つ掲載しています。「いきなりノウハウの話ではなく、聞き方とは何か」ということを具体例をもって示すということは本を書くまで考えませんでしたが、確かに話し方と違って「そもそも話を聞くことはコミュニケーションにとって有益なのか」はわかりづらいです。

ですから、聞き方のメリットを相手に伝えるためには、まず実例からということも考えるようになりました。

おかげでさらに「話を聞くこと」への意識が向上しました。例えば、清潔感や身だしなみが大事と書いたので以前よりも意識するようになりました(笑)。

 また、執筆をきっかけに「会いに行くキリスト教会」の活動を振り返ることができました。それと共に、この活動で積み重ねてきた日々が肯定されたようで嬉しかったです。そして、これからも出会った相手に寄り添うために聞くことを大切にしようと再決心しました。

■本は読者にインパクトを持って伝えるために型を持っています。だから体系化されやすいんです。今回のようにいきなり実例で入るパターン。概念をわかりやすくするため定義から入るパターンなどいろいろあります。ぜひほかの本も見てみてください。話がそれました。さきほど出版のメリットで家族が喜んでくれたというものがありました。今回ご家族の反応はどうでしたか?

両親からは嬉しい反応をもらいました。出版後すぐにプレゼントとして父と母に本を贈りました。母が最初に読んでくれたようで、「なんか、涙が出てきたよ。…ためになった。素晴らしい生き方をしているんだね。」と感想をくれました。

父も読んでくれたようで、「いい本だね」と言ってくれたそうです。 親は普段の私がどのような生き方をしているのかあまり知らないと思います。

本を通して少しだけ知ってもらい、喜んでもらえたことが嬉しかったです。

 ■よかったです! まして石川さんは独立しているから、普段口には出さずともご家族は心配でしょうね。。。そういえば、そもそも石川さん自身はなぜ本を読むのですか?

物心ついた頃から家には本がたくさんありました。両親が本をよく読んでいたので、自然と小さなころから読書をするようになりました。

見たことも聞いたこともない世界に連れて行ってくれる面白さがあったり、知らないことを知ることができる喜びがあったりしました。

読書は、日常では接することのないそれぞれの分野の専門家と会話をさせてもらっている貴重な体験だとも感じます。

著者の経験や人生を追体験させてもらうことで、学びや気づきを通してブレイクスルーが起きることがあります。

悩み苦しむ心に慰めを与えてもらうこともありました。

心燃やされるような本に出会うこともありました。

本に励まされ続けています。これからも読書を通して励ましを受け続けたいと思います。

 ■なるほど、「励まし」いいですね!モノとしての本ができる強みだと思います。さて、本当は前回これをお聞きしようと思ったのですが、これから独立しようという人に一言いただいてもいいですか?

やりたいと思ったらぜひチャレンジしてください。知識がないとか、準備ができていないなどの出来ない理由はひとまずおいてください。やってみて失敗しながら学べることの方がはるかに多いです。

私自身は売り上げを追い求める事業はしていません。

目の前の人に喜んでもらうことを大切に活動をしていますが、この考え方は事業にも通じるのではなしでしょうか。

本を書こうと思っている人にも一言いただけますか?
 本を書くのはその分野で超一流の人だけができることだと思っていました。

まさか、自分が本を書くことになるとは思いもしませんでした。

自分を卑下するつもりはありませんが、こんな私でも本を出版することが出来ました。自信を持ってご自身の経験をあますことなく書き切って欲しいと思います。

読者が読みやすいように編集者が丁寧に編集をしてくださいます。

本は著者一人が書いて完成するものではありません。そこには、企画の段階から協力してくださる方がいます。編集者の伴走があります。

出版社の方、書店の方など様々な人の協力があって一冊の本が完成します。

本ができる過程を知り、味わえるのも出版の醍醐味です。

人生は一度しかないので、ぜひこの体験をしてもらいたいなと思います。

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