今回はキャリアという観点から新しい方面の記事を掲載しようと思います。
フランチャイズオーナーに話を聞き、店舗ビジネスの話を具体的に聞いていけたらと考えております。
『儲かるコンビニフランチャイズの教科書』著者の長瀬環さんにコンビニの現場を聞くことで、フランチャイズという起業のスタイルを肌で感じてもらえたら嬉しいです。
長瀬環さんのプロフィールはこちら
1971.12.30生まれ
コンビニ7店舗の経営者
明治36年(1903年)創業の酒販小売店に生まれる。実父は酒販店を経営し、実母は筆者が高校在学中にコンビニ経営をスタート。
大学では経営学を専攻。大学卒業後、酒屋子息向けの専門学校「酒販専門学院」で小売業のノウハウ・酒の専門知識を学んだのち家業を継ぐ。
コンビニ3店舗出店以降、組織化ができていないことが原因で、店舗の質が低下。
そこで、慣習的な家族経営からの脱却を決意し、「組織づくり」「人材教育」に着手。
全従業員参加の研修や、新人向け研修、POP作りの研修なと゛を、店舗隣に建てた専用セミナールームにて定期的に開催している。
コンビニ加盟店としては異例とも言えるこれらの取り組みは業界でも注目を集めており、多店舗展開を行う経営者が多く視察に訪れている。
現在年商17億円・店舗数7店舗・従業員数150名の組織にまで成長。また今後もさらに店舗拡大を計画している。
性格は「お人好し」「思い立ったらすぐ行動(落ち着きがないとも言う)」
趣味はベース演奏(ヘヴィメタル!)、筋トレ、空手
ー長瀬さん、著書の重版おめでとうございます!
まず長瀬さんに聞きたいのは、フランチャイズビジネスとは何か?ということです。
フランチャイズビジネスとは、本部と加盟店が役割を分担して、それぞれがその道のプロとしてやるべきことをやるものだと思います。本部の役割とは加盟店がスムーズに経営を行なって行くためのバックアップをすることですし、加盟店の役割はそのバックアップを受けながら店舗経営を行なっていくことです。
何でもかんでも本部がやってくれると思っている方もいらっしゃるようですがそんなことはなく、本部と加盟店のお互いが与えられた役割を全うして初めて成立するビジネスと言うことができるのではないでしょうか。
ありがとうございます!
コンビニオーナーとして大切にしなくてはならないことは、なんでしょうか?
コンビニオーナーは販売員であるのと同時に教育者であるという点ですね。
自分自身も店頭に立ってお客様相手に接客する機会もありますし、清掃や発注も行いますが、何でもかんでも自分自身でやることはできません。
24時間ずっと自分が店頭に立っているわけには行かないので、人の手を借りなければやっていくことはできないビジネスであることが容易にわかります。
自分が店頭に立たなくても自分と同じか、それ以上のクオリティで店舗を回してもらえるような“従業員教育”をすることが必要です。その重要性を理解しているオーナーさんのお店はどこもイキイキとしたお店になっていますね。
なるほど、人の話がでてきました。ここで、フランチャイズビジネスに必須のフランチャイズは本部と加盟店のつながりがなきゃいけないの真意をおしえてください
本部と加盟店は別々の法人であるとはいうものの、チェーンであることに変わりはありません。本部の意向に沿って経営を進めていくことは当然のことです。
ただ、本部だって間違えます。
重用なのは挑戦すること。
何も新しい取り組みをしないことに比べれば、間違えたとしても色々チャレンジすることには大きな価値があります。
しかし、加盟店オーナーの中には本部が新たな挑戦をしようと思ったことに対して最初からそれにこたえようとしない方もいらっしゃいます。
それでは本末転倒で、同じ看板で仕事をしている以上、本部の意向に沿った経営を行わなければ、その本部のチャレンジが正しかったのかどうかすらわからないで終わってしまいます。
一蓮托生。著書の中でも触れていますが、本部と加盟店は手を取り合ってやっていくべきだと思います。
ありがとうございます!
コンビニオーナーとしてつらかったこと教えてもらえますか?
入ってきた従業員が定着しなかったために、四六時中店頭に立たなければならない状態が続いた時がありました。これは正直体も心もしんどかったです。
休憩もないですし、もっとオーナーとしてお店の経営状態とかを考えなくてはならないのに、日々の店舗を回すのにいっぱいいっぱいなのですから。
そこでその原因を分析してみたのです。
良く考えると、従業員が定着しないのは入ってきた従業員に居心地の良さを提供できていなかったことが原因だと気づきました。
そして、そこに思いが行かずに「なんでおればっかりこんなにつらいのか」と負の連鎖を起こしていたことですね。
従業員が入ってくる→店舗オペレーションをおしえられる人がいないからちゃんとした教育もできずに店頭に出す→従業員がお客様からお叱りの言葉をいただく→教えてもらっていないことで怒られて従業員が不満を持つ→不満が募ってやる気が削がれる→仕事が楽しくなさそうな従業員ばかりになる→雰囲気が悪くなり、辞めていく→そんな従業員しかいないお店を見てそこで働こうと思う人はいなくなる→従業員募集をしても集まらない→ますますオーナー自身が店頭に立たなければいけなくなる。
まさしく負の連鎖ですね。この頃は辛かったです。
ただ、この連鎖に気づき、従業員教育のメソッドを考え、徐々に悪い流れから抜け出していけたのです。人にフォーカスして、経営がうまくいった。ここから得た経験は大きかったです。
一方、コンビニオーナーとしてたのしかったことはありますか?
みんなで協力をして一つの商品の売り込みに成功した時ですね。
色々なセール商品があります。
揚げ物のセールだったり、おでんのセールだったり。
それらの販売キャンペーンで地区で上位になることは嬉しいものです。
しかし、ただ売れることがすごいというだけではないのです。
24時間営業のコンビニエンスストアでの商品の売り込みは、どこか1つの時間帯で爆発的に稼ぐことができたとしても、他の時間で売れなかったらトータルの販売数はそれほど高くはなりません。
どの時間でも満遍なく販売できることが高い販売実績に直結します。
つまり、24時間くまなく販売ができるような従業員への教育や情報共有、店舗としての一体感を作ることができなければ高い販売実績を作ることは難しいものなのです。
コンビニオーナーとして高い販売数を作ることは他店に比べて良いお店であるかという指標にもなりますので、みんなで協力をして高い販売数を叩き出すことができた時はとても嬉しいものですね。
なるほど、コンビニ経営の難しさよくわかりますが、達成したときの楽しさは半端がなさそうですね!
最後に本を出してみてよかったこと教えてください。
自分と同じ看板のオーナーさんからだけでなく、違う色の看板のオーナーさんからもDMをもらって「この本に書かれていることはまさしく教科書ですね」と言っていただけたことです。正直、自分の所属するチェーンの話を書いたので他チェーンの方に響くのか不安でもあったので自信に繋がりました。
そして、色が違っても追い求めているものは同じなのだと胸があつくなりました。
ジーンときますね! そもそもなぜ本を出そうと思いましたか?
世間のコンビニ経営のイメージは、
・本部と加盟店は対立していている
・加盟店は稼ぎを本部に搾取されている
・24時間営業を無理強いされている
があるのではないでしょうか?
確かにメディアで報道されるニュースにはこういった“一部の”加盟店のリアルが報道されています。
あたかもコンビニ全体の問題点であるかのように。
全国には5万店を越えるコンビニエンスストアがあります。
ニュースがコンビニ加盟店全体の問題であるならば、その5万店の店舗経営者は全員“不幸せ”なのか? 本部と対立関係にあるのか?
「いやいやそんなことありませんよ」ということを伝えしたいなあと。
それも実際にコンビニ経営をおこなっている1オーナーから書きたいと思いました。
本部の人間が書くのでも、コンサルタントが書くのでもなく、加盟しているオーナーがそれを伝えることで、実際のコンビニ経営の実態を分かってもらえるのではないか。
これが一つのきっかけです。
もう一つのキッカケは
「コンビニ経営って誰でもできるんでしょ?」と結構言われることがありました。
たしかに本部からのバックアップを受けながら経営をしていることに間違いはありませんが、何もかも本部がやってくれる訳ではありませんし、甘く考えて経営をして失敗している方もいらっしゃいます。
コンビニ経営者を目指す方に向けて店舗ビジネスの経営ノウハウをお伝えしたいということが本書を書くことになったきっかけです。