出版

執筆は「自分の過去・実績」を信じることでうまくいく

前回話し方のプロ スピーチコンサルタントの阿部恵さんにお話を伺いました。

そして、阿部恵さんは本を執筆しています。

今回は本を書いたきっかけや読書について語っていただきます。

阿部恵さんご著書『1日1トレで「声」も「話し方」も感動的に良くなる

ー前回はありがとうございました! ご著書を読ませていただき、とても分かりやすく明日からでも実践したいノウハウが満載でした。 早速ですが、なぜ本を書こうと思ったのか、ぜひ教えてください

はい、ありがとうございます!

実は「いつか本を出せたらいいなぁ」と、以前から憧れてはいました。

でも、どうやったら本を出せるのかわからず、そのままになっていたのです。

それが明確に「本を書こう!」に変わったのは、ある大学教授のご紹介で、早稲田大学日本橋キャンパス(WASEDA NEO )の社会人向け講座を担当することになった時です。

スタッフや受講者から「阿部先生、ご著書は?」と聞かれたんです。

「ないんですよ〜」なんて最初は軽く答えていたのですが、あまりにも聞かれるものですから、HP(ホームページ)に掲載されている他の講師陣のプロフィールを見てみたんですね。そしたら、著書がない講師は私だけだったんです!

「これでは、紹介者に対しても、何よりお金を払って私の講座を受講してくれている受講生たちにも申し訳ない」と思い、「本を書こう!」と決意しました。

その時、すでに企業研修も入れると、数千人の方々にスピーチ指導をしていましたので、そのノウハウなら書けるのかな? と思いました。

ーきっかけは大切です。本を作るのはしんどい作業の連続ですからね。何か切迫した理由がないとなかなかやろうとはならないです。素敵なきっかけだと思いますよ! そんな本書ですが、どういった方々に読んでほしいですか? そして本を書く上で大変だったことは何でしょう?

・声が小さくて…
・なぜか声が通らなくて…
・いつもうまく話が伝わらなくて…
・話し方がキツイって言われる…等々。

声や話し方に関して悩んでいる人たちに、1日1つ簡単にできるトレーニング方法をご紹介しています。そして、この簡単トレーニングを続ければ、「誰でも声も話し方もよくなりますよ〜!」と、そんな応援メッセージをお伝えしたいです。

そしてつらかったことは、この本のターゲットとなる人たちは、一体どんなことに悩んでいるのかわからず、しばらく書けない状態が続いたことです。

実は当初、別のターゲット向けに本を書きたいと思っていたんです。

プレゼンや商談の機会の多い経営者やビジネスパーソン向けのスピーチ本です。

ところが、編集者さんから「世の中に、しょっちゅうプレゼンする人ってどれだけいるのでしょうか? 多くの人は、人前で話す時ドキドキしてしまったりとか・・・。そういう人の方が圧倒的に多いと思うんですよ」と言われ、ハッとしたんですね。確かに、そうですもんね!

そして、編集者さんから「1日1トレで声も話し方も感動的に良くなる」という本のタイトルを提案され、「人前で話すのがあまり得意ではない」方向けの本を書くことになったのです。

想定していたターゲットと変わったので、はて、どうやってリサーチしたらよいかと悩みました。

ところが、そんな時、たまたま本棚の奥から、私が起業初期に開催していた初心者向けスピーチセミナーを受講してくれた人たちのアンケート用紙と、私が新人アナウンサーの研修時に書いていた日記が出てきたんです。どちらも色あせて、ホコリをかぶっていました。

そこには、「話せなくて悩んでいる切実な想い」と、セミナー受講後に「できない」が「できる」に変わった喜びが記されていました。お顔が浮かんでくる方もいました。

何より、私自身も新人時代はうまく話せなくて泣いてばかりいたこと、失敗して叱られたこと等、「できなかった自分」を思い出しました。

・・・・・恥ずかしかったですね。思い上がっていた自分が。

このアンケート用紙と色あせた日記のおかげで、原点に立ち戻ることができ、ようやく書き始めることができました。

〈書き始めると・・・〉

そもそも「書く」ことに不慣れだったので、編集者さんからは「文章が硬いですね」と指摘されました。「どうしたら読みやすい文章になるのか?」と悩みました。

ある著者さんに相談すると「恵さんは話すのが得意なんだから、音声入力すればいいんじゃない?」とアドバイスをいただいたんです。

試してみたら、確かに、ラジオ番組で喋っているみたいにスラスラ言葉が出てきたんです。

まず構成を考えて音声入力。今はそれを文字にしてくれる機能がありますから、それを書き言葉に修文しました。この方法でようやく書き進めることができました。

-話しながら原稿にする! 令和の手法でいいですね! ただ、話すことそのものが声を発しているのでアウトプットに最適な行為なんですよね。 僕もたまに音読しますが、インプットする時にどうしても読むだけでは厳しいときは身振り手振り交えて声を発してやるとうまくいくんです。声を発するって特別なことなのだなと実感しています。話が脇にそれました。本を書いてよかったこと、そして書こうとしている方にメッセージをいただけますか?

まず実感したのは、たくさんの反響があったことです。

知り合いはもちろんですが、例えば、Amazonレビューでは知らない方からたくさんのコメントをいただきました。厳しいご意見もたまにはありますが、「こんな悩みが解消された」とか、「実際にやっています!」との反応があると、やっぱり嬉しいですね。

アナウンサー時代の友人たちもラジオ番組等で一生懸命応援してくれました。私もTBS系列局などのラジオ番組に多数出演する機会をいただきました。新聞のラジオ欄にも掲載されたのですが、〈ゲスト:平原綾香、阿部恵〉と書いてあったり・・・。「隣が私でいいのかしら?」と、平原綾香さんに申し訳ない気持ちでしたけど・・・ 笑。

書きたい人に伝えたいことは、

「自分がやってきた経験と実績は裏切らない」ということです。

あなたがこれまで経験してきたノウハウは、きっとどこかで悩んでいる誰かの役に立つはずです。ぜひ言語化してほしいと思います。

実は、私の本には、各項にモデルがいます。

アンケート用紙に悩みを書いてくれた人。

スピーチトレーニングを受けてくれた人。

そして、新人アナウンサー時代の私自身。

「この人に向けて書こう」と思ったら、書き進めやすかったんですね。書きやすいところから書いてみたらいいんじゃないでしょうか。

私は執筆中、何度も「書けない〜!」という壁にぶつかりましたが、信頼できるベテラン編集者さんのおかげで乗り越えられました。その助言通りにやったら、自分でも納得できるものが仕上がったと思っています。なんたって本のプロなので、頼りになりますね。

ぜひ編集者さんと上手にコミュニケーションを取って進められれば、素晴らしい本ができると思いますよ。

ーうれしいですね!われわれも100年残るような本を作家の方々と作り出していきたいです。さて、そもそも阿部さんにとっての読書とは? を最後に聞かせてください。

私の不得手を補うためと、知らない世界を知るための行為が読書です。

私のクライアントは、IT企業、製薬会社、社会福祉法人等と業種が多岐にわたるんです。わからないことだらけの業界もあります。

しかし、教える側の責任として、彼ら・彼女らが抱える悩みや、業界用語や業界事情には常にキャッチアップしていかなくてはなりません。

私は、運良くアナウンサーにはなれましたが、「知らないことだらけ」「できないことだらけ」である自分を自覚しています。

理系分野、IT知識、会計・・・ホントに、苦手なことばかりなんです。その「苦手」を補ってくれるのが本なんです。

仕事はアウトプットの連続。それ以上のインプットをしていかないと追いつきません。

日々本からは何かを得る強い気持ちをもって読んでいます。

ビジネス書とは関係ないかもしれませんが、私は純文学も好きです。

息子と激しい親子喧嘩をした後は、必ず森鴎外の『山椒大夫』を読みます。何度読んでも最後のところで号泣してしまうのですが・・・泣いてスッキリして、イラついた気持ちをリセットしております。

ー阿部さん温かいコメントありがとうございます。阿部読書の深みが知れました。阿部さんに読んでもらえる本を作っていきたくなりました!そしていつか仕事をご一緒させていただけたら嬉しいです。

ありがとうございます! ぜひ、なにかご一緒しましょう!

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