メンタル

辛い時も楽しい時も「人」が力をくれた

今回は起業家のステージ段階的に追っていきたいと考え、立ち上げて20人ほどの従業員を抱えるまでにいたった起業家の話を聞いていきたいと思います。

ローンチし、育て、事業を発展させる。

そこまでのプロセスにいたる起業家の本は実は少ないです。

しかしそのステージこそがわれわれビジネスパーソンからすると、知りたい情報なのではないかと考えたのです。誰でも最初はひとり社長。しかしそこからどうやって事業を伸ばしていけばいいのかわかりません。

そこで今回は、2011年大好きな家事、家事代行で起業。11年間で8000件を訪問。子育てや介護でお悩みを持つ働く女性を応援している、関 泰子さんにお話をうかがいます。

関 泰子さんのプロフィールはこちら

43歳の時、フルタイムでの勤務をしながら、減らないローンを抱え、小学生と中学生の2人の子どもたちと夫の4人暮らし。人生に絶望し、不安に押し潰されそうになりながら、起業という道を選択。

2011年に家事代行サービスで起業。2013年には、完全独立をし、現在20名のスタッフと共に幸せで豊かな家庭作りを応援している。11年間で訪問してきたご家庭は、延べ8000件にのぼる。

「働く女性を家庭からサポートし、安心できる家庭環境を整える」が理念。

お客さま宅の家事を代行することで、家庭という一番小さなコミュニティを、お手伝いし、社会全体の活性化に貢献している。

訪問してきた富裕層から「住む環境が人に与える影響」を知り、独自のエッセンスを加え、「家事プロ」講座を開発。プロレベルの家事スキル、マナー、お客さまとの出会い方を学び、独立開業し自由な時間とお金を手に入れ幸せで豊かになる女性を応援している。

ーお忙しい中、今回インタビューを受けていただき、ありがとうございます! 早速ですが、会社員をしながら、どうやって起業しましたか?

こちらこそありがとうございます!簡単にいいますと、週末起業をしました。

平日は就業時間通りに働き、土日で起業した会社の仕事を行いました。

そもそも起業した理由は、夫の勤務先の倒産を体験し、お金がない生活が続き、この先の人生に不安を感じたためです。

夫1人に頼るのではなく、私も経済力をつけて、安定した生活がしたいと考えるようになりました。

そして、前職で一緒に働いていた女性の先輩が、運送業で起業し、とても羽振り良い生活をしているのを見たことで、勇気づけられたのも大きいです。

「私にもできる!私も青空天井の収入が欲しい!」と、起業を決意しました。

ー会社を辞めずに続けるのは大変ではなかったですか?

はい、やはり働く日が続くので、大変でした。

ただ、収入がなくなっては生活できなくなるため、すぐに会社を辞める訳にはいきません。会社が休みの日、土・日・祝日を使って週末起業を始めました。

なぜ家事代行業界だったのかは後ほど説明しますが、起業すると決めて、1年半程、家事代行業界でアルバイトをしました。

当時は、大手でさえ、私が住んでいる千葉県での仕事がなく、「働きたい」と電話しても、「仕事がありません」と断られる日々でした。

10社ほど電話した後、2週間後に再度10社へ電話すると、そのうちの1社が「今、お客様からの申し込みがありました。面接へ来れますか?」と返答があり、即採用されました。

その後いただいたお客様からの仕事を1年半ほどかけてしっかりとまっとうした後、アルバイトを辞め、ブログを使って起業しました。

ーやはり発信が大切ですからね!

起業すると言っても、お客様は0。まずは、お客さまと出会うために情報発信を開始したのです。

会社へ行く前、昼休み、帰宅後に取りつかれたように、ブログにのめり込む毎日でした。

そしてブログ運営のコンサルティングをしている先生の元で学び始めたのです。

しかし、ブログでの情報発信だけでなく、「商売とは何か?」から教えて頂きました。そのことはとても大きかったです。

その甲斐あって、1ヶ月後に初めてのお客様が現れ、16000円(税込)/ひと月の売上がたちました。

ーここでお聞きしたいのですが、なぜ家事代行だったのでしょうか?

先ほどもお話ししましたが、前職の女性の先輩を真似て、私も運送屋になろうと決意しました。商工会議所へその旨相談に行くと、「運送業は飽和状態なので、辞めた方がいい」とアドバイスを受けました。

そこで紹介された社長塾という勉強会へ参加。

生の社長さんとお付き合いをさせて頂き刺激を受けました。

そんなある日、社長塾で出会った女性社長さんから紹介していただいた人から、「これからは家事代行の時代。仕事にするといいわよ」とアドバイスを受けたのです。

その説明をきき「家事代行業がこれからの時代、やってくる」と考えるようになりました。

理由の一つとして、「資本もいらない、資格もいらない、腕は家で磨ける職業であるというものがあります。スキルは自分が一生懸命家の掃除をすることで、身に付けられるのが素敵だなと感じました」

そして、当時お金がありませんでした。そのため、資本金は用意ができませんでした。

家事代行はお客様宅の掃除道具と洗剤を使って、家を綺麗にする仕事です。

高い道具も洗剤も要らずに始めることができ、スモールスタートが切れる業態でした。

ーなるほど! 人に会うことで、起業に関する情報が広がり、行動ができたのですね。やはり起業において「人に会う」ということは必要不可欠ですね!ちなみに起業で辛かったことはありますか

辛かったことはいくつかあります。まず、1人目のお客様が現れた後、半年間、仕事がなかったことです。

ブログを書いても、全く反応がなくて、お客様は増えるのか? 先が見えなくて不安でいっぱいでした。

相談できる相手もいなくて、「正解がなく、これでいいのか?」と思うようになりました。

「いつまでこの状態が続くのだろう。このままでいいのか?」日々不安ばかりが大きくなったのです。

毎日行っていた会社へ行かなくなって嬉しいはずが、不安になってしまいました。

「私は家に居ていいのだろうか?」

「何をしたらいいのか?」

お金がなかった時とは違った不安でいっぱいでした。

この頃は起業仲間や先を行く経営者、メンターとお付き合いをさせていただいていました。

「現場へ行かないことが不安だ」と悩みを打ち明けると、「あなたの仕事は経営。現場へ行かなくて大丈夫。ダスキンの社長さんはお掃除しに行かないでしょう?」といった内容のアドバイスを複数の人から聞くことができました。

この言葉から、「これまで現場の第一線で動いてきた。これからは裏方に回り、スタッフさんをサポートしていくことが私の仕事」と毎日、自分に言い聞かせていました。

「大丈夫、現場は私が行かなくても皆が上手くやってくれている。」これが、ずっと現実として続いています。

ーやはり、人ですね、ビジネスは。 辛いときにこそ悩みを打ち明けることのできる仲間が欲しいですね。逆に楽しかったことはありますか?

たくさんありますが、4つ話をさせていただきますね。

1つは、素晴らしいお客様に出会えたこと。

最初のお客様は、10年以上が経過した今も、お客様としてお付き合いをさせていただいていることは私の財産です。

他にも、引っ越してもその先で長きに渡り訪問をさせていただいているお客様もいます。変わらずにお付き合いいただいていることに感謝しています。

2つ目は、収入アップです。

会社員時代には考えられなかったお金を受け取っています。

使い道も変わり、受け取る時も、使う時も感謝の気持ちでいっぱいです。

3つ目は、働き方を選べて自由な時間を手に入れたことが大きいです。

自分がお客様の所へ行って家事をすることも、スタッフに任せることもできます。

自分の予定を決めてから、仕事を入れることができます。

時間をコントロールできることで、趣味、家族との時間を確保できました。

最後に、片づけが大好きで天職だと気づけたことです。

偶然から始めた家事代行業だったが、お客様の暮らしぶりから、どのように部屋の中を整えたら、より良い生活を送れるのかを考え、提案し、喜んでいただけることが何より嬉しいです。

ーこれは偶然のように思えるかもしれませんが、すすめられたとしても「なんとなく好き」が無くては選ばないと思うんですよね。だから本当に天職だったんでしょうね! そのまま一人で事業を続ければ、リスクも少なかったと思いますが、起業して人数を増やそうと考えたのはなぜですか?
まず何といっても、仲間がいると、自分では気づけないことに気づいたり、モチベーションが上がったりしてとても楽しいです。人がいるということの心強さを感じます。

また、住宅ローン以外の生活費は私が払っていたため、私が、無収入だと家計が厳しくなってしまいます。会社へ勤めながら、家事代行を軌道に乗せるには、人を雇用して、一緒に働いてもらうことだ、と思い、早い段階で人を採用しました。一緒に仕事をしてくれる仲間がいてくれることで、私がお客様宅へ行かなくても売り上げがたつことは、ありがたいことです。

ですから、仲間=スタッフは私の分身だと思っています。私に代わって現場へ入ってくれている、私は彼女(彼ら)達が、安心して働ける仕組みを作ることが仕事。みんなが大好きで信頼していて、何があっても守りたい存在です。

ーすてきですね。ありがとうございます。

次回は、関さんに起業することで、目標収入をどこに置いたのか? そして、なぜ本を出したのか語っていただきます。

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