今回は『web選考は「準備」が9割!』の著者田中亜矢子先生に話を伺っていこうと思います。このブログでは、ロールモデルの探求、つまり師匠をみつけてほしいと考えてインタビューしております。ですので、「○○の起業家」に話を聞くという枠を設けることはしません。
とにかく、老若男女問わず聞いてバラエティの富んだ起業家列伝にしていきたいと思っています。
さて、田中亜矢子先生をまずは紹介いたします。
田中 亜矢子 (たなか あやこ)
社会保険労務士事務所サン&ムーン 代表1981年10月生まれ。二児の母。
2004年 愛知教育大学教育学部卒業後、岡崎信用金庫へ入庫。
営業店で投資信託や保険商品のセールスを経験後、人事部へ。
最後の5年間 採用、人材育成等を担当し、採用活動では延5,000人の学生と接する。
2017年、金融業より人事の仕事を専門にしたいと考え研修講師として独立。
独立後5年間で500回以上、延10,000人の受講生に研修を実施。
得意分野は、プレゼンテーション、コミュニケーション、ハラスメント研修。
2018年 在学中に取得した社会保険労務士の資格を活かし、岡崎市十王町に社労士事務所を開設。
コンピテンシーを活用した採用コンサルティング、社員教育、人事評価制度構築を専門とし、人事担当者や管理職を対象とした採用面接官研修や人事考課者研修にも定評がある。
人事経験10年のベテラン社労士。
キャリアコンサルタントとして学生のキャリア相談、就活関連のセミナーに登壇することはライフワークの一つ。
一人でも多くの学生が、自信を持って就職活動に臨み、実績なく戦える「新卒」というチャンスを最大限に活かして欲しいという想いで活動している。
それでは独立について聞いていきましょう。
「人」を追求したかった
―田中さんはもともと、信用金庫で働いていらっしゃいました。
堅実でとても安定した職に思えるのですが、なぜ独立しましたか?
まずは、それまでの経緯も含めて聞いてみたいです。
元々大学を卒業後、地元の信用金庫に就職しました。女性で総合職で、転居を伴う転勤なく一生働けるところ、それが私の就職活動の条件でした。
そこから14年間勤務し、最初の9年間は営業店の窓口で、投資信託や保険商品の販売等を行い、その後5年間、人事部で採用や人材育成、労務管理の仕事を担当しました。そこでの経験が私の転機となりました。
私にとってその信用金庫は第一志望の企業で、とても入りたくて入社しており(大学時代、その信用金庫に入るために、少しでも就職活動を有利にしたいと社会保険労務士の資格を取得しました)そんな大好きな会社に入りたい!と採用試験を受けに来てくれる学生が可愛くてたまりませんでした。インターンシップから始まり、採用活動、そして入社後1ヶ月間の研修の企画運営はとても楽しくやりがいを感じる日々でした。
しかし、研修を経て営業店へ配属された新入社員を見ていると、「この子大丈夫かな?」と思っていた子が活躍していたり、「きっとこの子は伸びるだろうな」と期待していた子がそうではなかったり。その違いは何だろう? といつも考えていました。
―なるほど、人材というところ、そして成長というところを突き詰めたくなったのですね!
はい、そうなんです。
たまたま営業店を回って社員面談をする機会を得ました。
そこで驚いたのは、同じ仕事をしているはずなのに、支店長の違いで支店の雰囲気が全く異なるという現実でした。
新入社員を育てることが、会社への貢献につながると思っていましたが、本当に育てるべきは新入社員ではなくて、管理職をはじめとする上に立つ人たちなんだ。その想いが日に日に強くなり、自分で外部の研修を探しては受講しに行く。そんな日々を過ごしていました。
―なるほど。人にフォーカスしたら、組織的な問題にいきあたった。
はい。ただ、知識ばかりインプットするものの、アウトプットする力がなく、周りの方々に伝えられない自分の力の無さに対するもどかしさ、それが独立のきっかけでした。
―それに組織の中ですと、アウトプットできる場もなかったりします。年間スケジュールに沿って動かなくてはなりませんし、繁忙期などもありますからね。
そうなんです。外部から組織に対して提言していきたいと強く思いました。ただ、独立すると言うものの、商品も人脈もノウハウもお客様もいない状況でゼロからのスタートでした。
―そのあたり、具体的に聞きたいですね。
公共機関が実施している起業相談へ行っても「旦那さんがいるから、まぁいいんじゃない」と真剣に取り合ってもらえない状況に腹を立てたこともありました。
―そんなこと言われるんですか!
ただ、それで火が付きました!
まずは経験が必要だと思い、セミナーを自主開催し知人や友人に来てもらったり、業務委託で研修の仕事を受けたりするところからスタートしました。
―これは多くの方が知りたいところです。具体的に教えてください。
この他には、地元の商工会議所から就活中の学生支援の依頼を受け、キャリアコンサルやセミナーを実施させていただくこともありました。
次第に企業から直接研修の仕事をいただけるようになり、長期間にわたる管理者層の教育に携わらせていただいたり、その延長で採用支援や人事評価制度の構築なども任せていただけるようになりました。
何が商品になるのか? 自分でわからなかったため、とにかく依頼があったことに全力で向き合う形で6年間走り続けてきました。
―いいですね! まず、セミナーの自主開催、次に、商工会議所、最後に企業からの研修依頼とステップアップをしていったんですね。独立して、どうでした?
独立してよかったことは、信用金庫で働き続けていたとしたら、きっと出会っていなかったであろう多くの方と巡り会うことができたことです。
価値観を同じくする方々と過ごす時間は、私にとっては何よりの尊い時間で、「目の前の人とその周りの人を大切にする」そんな方ばかりが周りにいてくれる人生はとても幸せです。
逆に辛かったことは…今かな 笑
これまで個人事業主で、言われたことに対応することで満足していましたが、会社の代表となり、自ら仕事を作ることが課題となりました。ここにまだまだ対応しきれておらず、今一番大きな壁が目の前に立ちはだかっているように感じています。
―会社の立ち上げの話伺いたいですね! 次回はそこを深堀していきます。
今回インタビューさせていただいた田中亜矢子先生の著書はこちら